基材【覚えておきたい!コンポスト用語辞典 #003】
コンポストをやっていると日常使わない言葉に出会うことがあります。このコンポスト用語辞典では、そんな言葉の意味や、それにまつわる情報を紹介していきます。
#003のテーマは「基材」です。英語では、bedding material 。
好気性、嫌気性問わず、微生物の力を借りるコンポストを始めようと思った場合に、おそらく最初に出会う用語でしょう。
基材とは?
コンポストの発酵を促すために、生ごみとともに投入する、何かしらの資材・材料のことを指します。基材には、水分量のコントロールや空気を含ませる役割が主です。一方で発酵剤としての役割として基材に加えるものもあり(以下で紹介する米糠など)、生ごみの発酵を手助けしてくれます。
コンポストで一般的によく使用される基材を紹介していきます。
コンポストで使われることの多い基材
コンポストには、キエーロ、ダンボールなどいろいろな種類があります。ここでは、ダンボールコンポストなど好気性でよく使われる資材について紹介します。キエーロについては開発者インタビューで基材についても触れているので、こちらへどうぞ。
太陽と風と土があれば、どこでも誰でも始められる。キエーロ開発者松本さんに聞きました
日本国内で入手しやすい資材は以下のとおりです。
ピートモス
苔などの植物が堆積してできた泥炭を乾燥させて砕いたもの。土壌改良土として農場などで使われることが多い。pHは4.0前後で酸性。pHを調整済みのものも市販されている。原産国は、カナダやロシアなど。
腐葉土
その名の通り、葉が堆積してできた土。購入せずとも、周囲の土で代用可能でもある。
籾殻くん炭
精米の時に生じる米の籾殻を炭化(空気に触れることなく蒸し焼きにする)したもの。土壌改良に農園などで使われることが多い。吸水性が高いのが特徴。pHはアルカリ性に寄っている。
竹パウダー
竹を細かく砕いたもの。放置竹林の解消法として竹パウダーの活用が注目されている。密閉すると乳酸菌が生じることが確認されている。pHはアルカリ性のため、酸性に偏った土壌を改良することができる。
ココピート
ココナッツの殻を発酵させた資材。ピートモスの代替として活用される。酸性。インドやスリランカなど東南アジア原産のものが多い。
米ぬか
玄米を精米するときに生じる粉。pHはアルカリ性に寄っている。発酵促進効果が強いため、土の温度が上がりやすい。
それぞれの基材は、酸性、アルカリ性のどちらかに偏っています。ゆえに、2種類を混ぜることでほどよく中和して活用することが多く、コンポストの説明資料などでは、たいてい、アルカリ性と酸性の資材の2種類が併記されています。
他にも、おがくず、コーヒーカスなど、廃棄されるものを再利用するようなことに挑戦している人もいます。
上に紹介したように、原産国は日本ではなく海外のものもあり、そのものの製造過程における温暖化などへの影響も考慮したいところです。たとえば、ピートモスであれば、泥炭地というのはたくさんの炭素の貯蔵庫でもあり、長い年月をかけて生まれています。農業やコンポストに使用するために泥炭を回収してしまうことは炭素を放出することに繋がります。
そこで代替として考えられるのがココピートですが、こちらもココナッツのプランテーションのために、その土地の森林伐採がされていないか、原住民の生活環境が守られているかなどを考慮する必要があります。
参照:https://www.bbc.com/future/article/20220908-is-there-a-good-alternative-to-peated-compost
良かれと思って始めた身近な暮らしの中での循環づくりが、遠い地の環境破壊などに繋がる可能性もあるということも考慮した上で、近くで手に入るもので、かつ家計に負担をかけずに始めることが、持続可能な堆肥づくりとなるでしょう。近くにある土を使うだけでも、十分に始められますよ!
文:composter編集部