嫌気性と好気性って?【覚えておきたい!コンポスト用語辞典 #002】

 
 

コンポストをやっていると日常使わない言葉に出会うことがあります。このコンポスト用語辞典では、そんな言葉の意味や、それにまつわる情報を紹介していきます。

#002のテーマは「嫌気性と好気性」です。英語では、aerobic bacteria もしくは anaerobic bacteria 。

嫌気性と好気性って?

大半の堆肥づくりの仕組みは、食べ物を微生物によって発酵・分解し土に戻すというものです。この微生物には、空気を好む微生物と、空気を嫌う微生物がいるため、どちらの微生物によって発酵・分解をしてもらうかによって、嫌気性コンポスト、好気性コンポストと大きく2種類に区分されます。

嫌気性微生物/好気性微生物または嫌気性発酵/好気性発酵など、解説の仕方はさまざまありますが、ここでは「嫌気性コンポスト/好気性コンポスト」とコンポストを軸にその違いをまとめます。

嫌気性コンポストの特徴

嫌気性コンポストは、その名のとおり、空気を嫌う微生物によって発酵/分解を促すタイプのコンポストです。ゆえに、できるだけ密閉をして空気を入れない環境をつくる必要があります。

このコンポストのメリットは、攪拌(かくはん)をして空気を土に入れる必要がないため、発酵/分解が進むまで放置することができます。好気性より手間がかからないと言われています。

デメリットは、発酵/分解過程でアンモニアを発生させるため、腐敗臭が発生し、密閉が十分に行われていない場合に、部屋中に腐敗臭が広がってしまうことが挙げられます。空気が入ると嫌気性微生物の活動が弱くなり臭いも広がるため、嫌気性コンポストにとって密閉性は非常に重要です。

代表的なコンポストにEM菌(空気を嫌う微生物が多く生息すると言われています)を使ったEMボカシが挙げられます。

米国で入手できるタイプのボカシコンポスト。蓋を閉める際に中に入れたボカシ+生ごみが空気に触れないようにしっかりと布なりラップなりで落とし蓋をするのがポイント。下の蛇口から1週間ぐらいする液肥が出てくるためそれを排水することも重要。発酵途中で完全に堆肥になる前に庭に埋めて、庭の土中で最終的には分解する。写真提供:

好気性コンポストの特徴

好気性コンポストは、こちらもその名のとおり、空気を好む微生物によって発酵/分解を促すタイプのコンポストです。攪拌して、土に空気を入れる必要があります。

土の中の温度は、手を入れるとほんのりと気持ちがよいぐらいまであがってくると発酵の準備が整いはじめた状態です。発酵を進める上では、さらに60度を越えるぐらいまで温度を十分にあげること、水分量を保つことが大切です。

メリットは、わりと短時間(5日前後)で分解がはじまること。特別な設備は要らず、コンポストを置く場所と土があれば始められます。

デメリットは、毎日のように攪拌が必要であること。長期間、家をあけることが多い方には不向きかもしれません。

代表的なコンポストは、ダンボールコンポスト、キエーロ、LFCコンポストなど。

kiero好気性

ベランダ設置型のキエーロ。屋根部分から空気を十分に取り入れられる構造が特徴。太陽の光と土にいる微生物だけで分解する。

これだけでは、どちらが良いのかの判断は難しいかもしれません。ちなみに、好気性、嫌気性の分類には属さない、ミミズコンポストや機械式コンポストも存在します。

自分の暮らしのスタイルや、目的にあわせて、まずは嫌気と好気のどちらが向いているかを考えてみるのもよいでしょう。

文:composter編集部

 
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