コンポストに欠かせない「切り返し」【覚えておきたい!コンポスト用語辞典 #005】
コンポストをやっていると日常使わない言葉に出会うことがあります。このコンポスト用語辞典では、そんな言葉の意味や、それにまつわる情報を紹介していきます。
#005のテーマは「切り返し」です。
コンポストを始めたばかりの頃(ただし好気性コンポストに限ります ※)、やり方を調べていると『「切り返し」を行なってください』と案内されることがあるでしょう。切り返しとはどういう作業なのか、またその効果と意義について紹介します。
※好気性コンポストについては、コンポスト用語辞典 #002を参照してください。
上手な切り返しの方法は?
好気性コンポストの場合は有機物(生ごみ)を分解するために空気が必要になるため、定期的にかき混ぜ空気を取り込む作業を行わなければなりません。ざっくりと伝えるなら、その空気を取り込む作業のことを「切り返し」と呼びます。
より丁寧に、手順をまとめてみると
コンポストに入っている有機物を一度取り出す。
有機物を取り除いた後のコンポスト基材を半分に分ける。
コンポストを半分に分ける。
半分のコンポストにフォークなどの道具で穴をあけ、空気を入れる。
現在分解中の有機物を、空気を入れたコンポスト基材の中に戻す。有機物に大きな塊があった場合にはここで刻んでいれるとより分解を加速することができる。もう半分のコンポスト基材には新しい有機物を入れる。
面倒ではありますが、コンポストの有機物を一度取り出すことで、コンポスト基材である土などに空気をより均等に行き渡らせる事ができます。コンポストをやっている多くの家庭では、そこまで手間隙をかけずに、有機物を取り出すことなく、そのまま分解中の生ごみと基材をスコップなどで混ぜる方法で切り返しを行うことが多いようです。
切り返しを行うタイミングは?
有機物(生ごみ)を投入してからしばらく時間が経つと分解が進んで、コンポストの中が50℃から65℃になります。そのタイミングが切り返しを開始する時期とされています。温度が上がらず不快なにおいが発生している場合などは分解が進んでいないため、一度切り返しを行うのが良いでしょう。通常、好気性コンポストを開始してから2週間から4週間程度で、温度が適切な範囲に達するため、この時点で切り返しを行うことが推奨されています。
また、切り返しの頻度は、季節や天候、使用量などによって異なりますが、一般的には2週間から4週間に1回程度が適切なようです。
なぜ切り返しをおこなうのか
切り返しには、好気性微生物の活動を促進する効果があります。コンポストの中にいる微生物は、堆肥の中で有機物を分解し、栄養分を生成しますが、この過程で酸素が必要となります。酸素が行き渡らないと、嫌気性の微生物の活動が盛んになり、匂いが発生する原因となります。また、空気を送り込むだけではなく、堆肥の中に含まれる水分や栄養分を混ぜることによって均等に分布させるという効果も。堆肥の中に水分が偏っていると、微生物の活動が不均等になってしまい、堆肥化が遅れることもあるようです。
なお、みみずコンポストや、嫌気性のコンポストの場合、切り返しは行わなくても大丈夫。みみずコンポストは、みみずが勝手に切り返しをしてくれます。
切り返しを上手に行って、匂いを防ぎながら分解を進めましょう!
文:composter編集部